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不動産登記


8. 根抵当権の確定

【1】 根抵当権確定の事由
  @ 確定期日の定めがある場合の期日の到来
  A 根抵当権者または債務者につき相続が発生して、その相続開始後6ヶ月以内に「合意」の登記をしなかった場合。
  B 根抵当権者または債務者につき合併があり、根抵当権者設定者より元本確定請求権を行使されたとき。ただし、債務者に合併があった場合で、根抵当権設定者が債務者である場合は確定請求はできません。
  C 確定請求権の行使による確定
根抵当権設定の時より3年が経過すれば、根抵当権設定者は担保すべき元本の確定を請求することができます。この権利は設定者の請求の意思表示が根抵当権者に到達して2週間が経過すれば確定します。
確定請求できる者は、根抵当権設定登記後当該不動産を取得した第三者も該当します。
  この確定請求権は設定者の一方的意思表示により確定する形成権と言われる権利ですので、根抵当権者や債務者の同意は不要です。
また、強行規定であると解されますので、「確定請求をしない。」旨の約定を取りつけても法的な効果はありません。
  D 元本債権の発生可能性がなくなった時
「取引の終了」の合意が当事者間で明確になされれば元本は確定することになりますが、普通はこのような合意はあまりありませんので、取引が終了したか否かの判断には難しいものがあります。
  E 根抵権者が担保不動産に競売等の差押えの申立てをした時。
元本は競売開始決定または差押えがなされた時確定します。
  F 根抵権者が第三者による担保不動産に対する競売手続きの開始、または滞納処分による差押えがあったことを知って、2週間が経過した時。
ただし、差押え等の効力が消滅した場合は、元本は確定しなかったものとみなされる。
  G 債務者・根抵当権設定者が破産の宣告を受けた時。
ただし、破産宣告の効力が消滅した場合は、元本は確定しなかったものとみなされる。

【2】 根抵当権元本確定の効果
  @ 確定時に現在する債権(すでに発生している元本に対する利息・損害金含む)と確定後に生ずる利息・損害金並びに確定時に発生原因が存在する将来債権(手形割引取引)を担保とすることになります。従って、新たに生ずる債権は担保されません。
  A 共同担保関係になっている不動産のひとつに確定請求が行使されれば、他の共同担保物件も全て確定します。
  B 確定後には根抵当権の変更・処分の登記が出来ない場合があります。

【3】 代位弁済(債権譲渡)を行い根抵当権の移転登記を行う時の注意
  根抵当権により担保されている債務を代位弁済しても、登記簿上、根抵当権が確定していることが明らかでなければ、代位弁済による根抵当権の移転登記を受けることはできません。注意が必要です。
明らかでない場合は、元本確定の登記をした後か根抵当権者自身で競売を申立てた後でないと、移転登記はできません。
  @ 登記簿上元本の確定が明らかであるとされる場合
  * 前記(1)の
D根抵当権の被担保債権が特定債権のみとする変更登記がなされている場合
E根抵当権者自身による差押え登記がある場合
G根抵当不動産に破産の登記がある場合
  * 元本の確定登記がされている場合
  * 確定期日の登記があり、その期日がすでに到来している場合
  * 債務者、根抵当権者について相続による変更又は移転の登記後、「合意」の登記がないまま6ヶ月が経過している時
  A 登記簿上元本の確定が明らかでないとされる場合
  * 前記(1)のF第三者の差押えの場合
(元本確定の登記なくして根抵当権の移転登記不可)
  * 共同根抵当権の担保不動産の一部の不動産に、当該根抵当権者からの競売申立の登記がなされている場合
(他の不動産について元本確定の登記をしないで共同担保物件全部につき債権譲渡による根抵当権の移転登記はできない。)

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